倫理リーダーを育てる(9)◉規範から考える

3番目は「Example」です。

規範から考える

倫理的な解決策を追求する際に考慮すべきもう一つの原則は、規範を参考にするという考え方です。この「手本」とも「例え」とも置き換えられる規範は、”倫理の世代モデル”に表されているように、世代から世代へと受け継ぐ中で、上の世代が明確に伝えるべき知識を持ち、下の世代がこれらを学ぶ意欲を持つことが、とても重要だとしています。

ビジネスでも個人でも、パートナーにコーチを持つことはとても大切な選択ですが、倫理に関してはメンターの役割が重要です。過去の事例や他の選択肢を得るために、違った視点から問題を捉えることは、倫理に限らず問題解決の重要な手法です。そもそもこの意思決定の車輪が、他の視点から考えるためのツールですから(^^)

一人ではなく、チームやグループのメンバーで、同じ問題を議論する必要がありますが、原則や規範といった抽象的な概念を、その状況や環境下での適切な施策として共有することがとても大切です。

自分の認識と、その結果導き出された判断を周りのメンバーと意見交換し、他人の視点やそこからのゴール、そしてプロセスについて、多角的な視点で考えていく必要があります。

ある組織で、職場のルールづくりをしたことがありますが、抽象的な言葉の意味を曖昧にせず、メンバーで共有するとしないとでは、メンバーのモチベーションに大きな違いをもたらします。この共有の場こそ、いま言われている「心理的安心の場」である必要があります。「聖書は泥棒にとって最高のバイブルだ!」という話を聞いた覚えがありますが、物事や文章は捉え方次第で目的も変えてしまう事例です。

原理・原則というさらに上位に位置するものがあります。ルールは状況に応じて変えることができます。というより変える必要があるといったほうが良いかもしれません(写真はご存知大谷翔平選手ですが、今回の大谷のオールスター戦出場のために、ルールを変更して大谷の投打での出場を可能にしたと聞いています)

でも原理原則は余程のことがない限り変えてはいけないことです。この違いもまた、その一線は曖昧かもしれませんが、これは地域文化を超えた慣習として、守り続けていかなければならない事柄です。

原理原則、法律、規則、基準、ガイド、ルール、マナー、エチケット…

これらの言葉はみな異なる意味を持っています。

これらは経験や教育の観点からも、そして次にあげる環境や文化の観点からも、「認められる違いと、認められない違い」として、共有していく必要がありますね。これらの違いは、個々人や地域が持つ「信念」や「価値観」に根ざしています。この、信念や価値観の違いがもたらす違いに、あなたはどのように対応しますか?(続く)