倫理リーダーを育てる(8)◉教育から考える

2番目は「Education」

教育から考える

倫理的な問題を解決するためには、倫理に関する指導やトレーニングを積極的に利用することが、倫理に対する理解を深め、必要性の観点からも意識が深まります。この連載を読んでいただくのももちろんですが、セミナーに参加し、さまざまな参加者の方と意見交換することも、新たな発見や見識を深める機会になります。

感情的になったり、多くの矛盾した考え方が混じったりする状況で特に有効です。「これが正解です」といった明確な答えが出しにくいのが倫理問題であるだけに、モヤモヤ感が残留するのもよくあることですが、このモヤッと感が大切です。

杓子定規な(規則に則った)考え方は、真実を明らかにし、倫理的ジレンマに関わるすべての人や組織に利益をもたらすことができます。倫理における規則(ガイドライン)はとても重要です。規則やルールは作れば良いというわけではなく、策定した上で関係者全員に何度も何度も刷り込みを行う共に、その学習履歴を管理しなければなりません。パソコンによる学習アプリは、どこでもいつでも学ぶことができるので便利ですね。その他リーフレット等、様々な媒体・ツールを用いて啓蒙していく必要があります。

この繰り返しの学び(刷り込み)は、昨今の脳神経科学でも実証されている「脳神経可塑性」がなし得る技です。何度も何度も繰り返し見聞きすることで、その内容や行為そのものが刷り込まれ、最終的には、考えることなく行動に移されます。つまり学習し見聞きした内容が「あたりまえ」な事として、脳回路に新たな回路として再配線されるからです。

事例学習(ケーススタディー)は、倫理を学習する場合には特に重要です。一般論に終始するのではなく、例えば営業活動や広報、そして技術開発など、社内の各部門での問題として扱うことで、より実践的に個人の問題として理解できるようになります。

具体的な場面をイメージすることで、さらに脳への刺激が強まるため、エピソードとして特に記憶に留めることができます。

倫理セミナーでは様々な立場や利害関係から、選択肢が多岐にわたる場合があります。関係者間のジレンマの渦の中からどうすれば脱出できるのかを考えることは、ゲーム理論等、問題解決の視点からとても参考になります(続く)