チームの生産性を高めるための7つのマインドセット

生産性を高めるためには、やはり問題を正しく最短で解決することになると思います。まして現下のCOVID-19の環境ではそれが求められます。つまりこの不確実な状況で、どうしたら効率的に合理的に正しく、問題を解決することができるか?ということが重要になるわけです。

それには7のアプローチが必要になります。

Step1: 現状に興味と好奇心を持つ(いま何が起っているのか?問題の根源にたどり着くまで、自問しかつ議論すること)。既に言及してきた様ざまな認知バイアスは、この問題の本質に辿り着くための障壁になるものです。これは脳の機能の一つなのですが、System1を用いてその場凌ぎの回答を出す性質があります。何かの問いかけをされたとき、咄嗟に思いついたことを言ったことありませんか? 昔し所属していた組織には、初回に提出したレポートや企画書を黙って突き返す上司(社長)がいました。「もっとよく考えてみろ!」という意味なのですが、自問自答を繰り返すことで、複数の解決策を促し、正しいエビデンスを提示することができた記憶があります。

Step2: 謙虚に暫定対応に甘んじる(全ての要因が解明されることなどあり得ません。いま見えている考えられり範囲での暫定的な対応を対応を迅速に行う)。不完全さや曖昧さを受け入れて、その認識を保ちつつ暫定対応を行うことです。COVID-19に対しては殆ど100年前のスペイン風邪の情報しかなく、事前の知識が無い中で病気や健康、そして経済への対応に取り組んでいます。正しいかどうかは行動した結果でしかわかりません。直感も含めそこには謙虚な認識が求められます。「私たちの知識は常に暫定的で不完全なもので、そこには新たしい証拠に照らした修正が必要になる」と、スエーデンの哲学者エリック・アグナーは言っています。ではこの認識の謙虚さを持って不完全なものを受け入れるためには、まず確実性を示唆する解決策に挑戦することからはじめます。

そして自分にこう問いかけます。“これが真実であるためには何を信じなければならないのか?”

こうすることで自分の考えに関する暗黙の前提が表面化し、代替案の評価受け入れがしやすくなります。不確実性が高い場合は、目標を小さく設定し小さな行動を起こしたり、妥当無コストで情報を入手したりして解決策を見出せるかをテストしていきます。特に複雑なビジネスや社会問題では、完璧な情報は不足しています。不完全さを受け入れることが、頼子謳歌的な問題解決になるのです。

Step3: 複眼思考(トンボの眼鏡をかける)。色々な立場や様々な人々の視点、そして起こり得る様々な状況から検討します。このための秘訣は、不確実性やピンチやチャンスの問題に直面したとき、自分の内側からではなく外側にポイントを移して見ることが大切です。客観的に見ること、つまり全体を俯瞰して見ることです。そのためにも日頃から業界内外のネットワークを持つことが重要ですね。

Step4: どこでいつ起った問題なのか、その再現性と併せて徹底的に探究する(原因の追求こと)。決して新しいことではありません。だからといってせっかくのその事実を、認知バイアスの中に世界においてきてしまうのは、多くの事柄を見直さなければならない現在において、あまりにも一方的です。現象的には同じに見えたとしても、その原因は異なった状況から発生しているかもしれません。したがってそこには過去のデータに答えを求めるのではなく、仮説を検証し、ときに新たなエビデンスを作り上げる力も重要になってきます。(Step1や3 とも大きく関係ますが、ここにあげるStep は実は相互に関係するところが大きいのです。)何気なく見過ごしているところに、見方を変えることで違いを見出したり、新たな真実が隠れていることもあります。もちろん一人よりチームの力がものを言う場合もあります。ABテストにより選択する方法も一つです(意思決定に関しては改めて)。リスクを受け入れる問題解決者は、常にこの手の実験を繰り返すことで解決の糸口を見出しています。早く失敗して良いものを見つけるとの言われ方もありますが、上手くいかなかった条件を選別しているだけです。かのエジソンも電球のフィラメントを発見するまでに、上手くいかなかった(つまり不適切な)材料を何百回と選別していたのですから。

Step5: 集合知を活用する(チームの知恵を生かす)。これは多様性を受け入れ相乗効果を生み、全体統合することで全く新しい結果を生むことを可能にします。特にStep3 と関連性が高く、チームのメンバーの視点や意見の良いところに、自分の視点をプラスすることで、意見の相乗りによる最適化が実現できわけです。「それはオレの考えだ!」と自分の意見に固執したり、それ以前に「こんなこと言ったら笑われるんでは?」といった恐怖感があるチームでは、心理的安全の確保から始める必要があります。しかし、意見の違いを受け入れ違いを生かすチームの生産性は既に実証されており、違いを「間違い」として評価するリーダーのチームのそれは間違いなく低くなっています。

誰か一人の「傑出した頭のよさ」を求めるのではなく、チームの信頼性を基盤に違いを位受け入れ、さらにその違いを生かす意見で統合できるチームは、どんな状況においても求められ最高のパフォーマンスを発揮します。

Step6: 巻き込む力:見せて聞かせる(影響力を持つリーダーシップは重要です)。これも以前から言われていましたが、どちらかといえば優秀なリーダーの条件の一つとしてあげられてきました。現在その力は 他のStepX と様々に関係づけられているといっても間違いではありません。情報化が進んだ現在のチームメンバーは、リーダーと同等あるいはそれ以上の知見を有しています。でもCOVID-19が引き起こした事実は、一人の経験値や有能(だった)な部下の意見を頼りにすることの脆弱性を露呈させています。今求められるリーダーシップは、関係者に問題を具体的に示し、当事者の問題として意識づけ、行動を起こさせる(巻き込む)力が必要になっています。

インターネットにTEDと言うプレゼンサイトがあります。20分(正確には18分)の持ち時間で、聴衆に向かってプレゼンを行います。このサイトを立ち上げたクリス・アンダーセンは、彼自身がTEDに出演して「考えを構築するための4つの指針」として、以下の項目を掲げている(アイデアとはそもそも何なのか?「それは世界を理解し舵取りしていく上で役立つ情報のパターンだと考えるといいでしょう。アイデアには様々な形や大きさがあり、複雑なもの 分析的なものから単純なもの、美的なものまである」と述べている)①スピーチの主要なテーマを1つに絞る ②聞く人に関心を持つべき理由を与えること ③聴衆が既に理解している概念を使って1歩1歩アイデアを築いていくこと ④最後の指針は、自分のアイデアを みんなに知らせる価値のあるものにすること だと行っている。

Step7: 解決行動(実行しなければ解決できません)。しかし、みなさんいきなり解決策の検討、あるいは具体的な5W1Hに取り掛かっていませんか? 日本では問題解決に関する事業はありません。そして研修やセミナーで推していることのほとんどは、PDCAと5WnHを考えることとして教えています。私もプラン+ドゥ+チェック+アクションをどう考えたら良いかとか、誰がいつからどういった形でどの様に実施するのか?といったプロセスを教わりました。これはこれでとても重宝ではありますが、いきなりこれらに至るのは本来の問題を蔑ろにしているのではないでしょうか? これでは問題に対して失礼です(笑)

Step1-6までのプロセスにもあるとおり、何が問題なのかその本質を見極め(見える化)、どうなれば良いかのゴールを色々な視点や状況を検討し(共有)、見えている問題を正しく形作ったうえで、初めて解決策に移すことが可能になります。(実は問題の見える化と共有が正しく行われていれば、概ね全員にその解決イメージは見えてくるものなのです。)その解決策としての方式や手段の検討は、その時々の状況を踏まえ、重要性や優先度、そして予算的なものから決定され、具体的なPDCAと5WnHとして管理ができるものになるのです。

これらのステップを具体的に体系化したものとして、アクションラーニング(質問会議)があげられます。一定の時間内に一定のルールに従って問題を議論し、メンバーでその問題の本質を共有していく中、チームのテーブルの中央に「問題がありありと姿を表す」かのように、問題を共有することができ、解決の方向性と解決のための参加意識(プロジェクトのマインドセットの確立など)の向上による、チームの意識レベルのアップも実現しています。従業員満足度調査の向上施策として採用し、具体的な実績を数字で見える化している組織もあります。ご興味があれば、お問い合わせください。