迅速な意思決定&オペレーションのために #15(Agile-4)
4 目標の数値化
今から10年以上前、地球から10億キロ離れた小惑星に着陸し、宇宙誕生時の惑星の土埃を持ち帰るという前代未聞のプロジェクトが行われた。ご存じHAYABUSAプロジェクトだ。このプロジェクトは川口淳一郎率が率い、既に小説やドラマ化も行われている。
この中で、川口リーダーは、実装の仕方はとやかくいっていないけれど、そのゴールを明確に数値で要求した。技術者とリーダーの会話の中からその数値は共有され、明確な目標値となっていった。それはスケジュールにはじまり、部品の耐久性や重さなど、ありとあらゆるパーツに至っている。
これらが数値化されていなければ、どんな問題が生じるだろう。
例えば、どうやってゴールに達成したかを知ることができるのだろう。奇しくも目標値自体に問題があり、新たなゴールを設定し直すことがたびたび起こるが、数値化が行われていなければ、目標値の変更もできずに、うまくいかないのは自分以外に問題があると疑うことも…
いまやカーナビはあたりまえに使用されているが、カーナビも目標地点を示さなければ機能できない。でも、目標地点は当然だが、もう一つ重要なことがある。そう、現在地だ。
現在地と目標値が明確でないと、いまいまの状況がわからないため、どのくらい進んでいるか進捗レベルもわからないまま、闇雲にプロジェクトが進められ、果ては中断や解散といった結末に至ることだろう。
数値化は明確な数字として把握できるものと、感覚値として数量化した上で把握する2つの数字がある。売上や製造個数、製造コストは実数値ですね。やる気や信頼度、満足度といったものが感覚値です。どちらも重要な数値データですが、これらのデータをどう分析して用いるかが、勝負の分かれ目です。月ごと年ごとの時系列で比較することはよく行われていますね。伸び率を見て上方or下方修正といったことが行われています。
でもこれらのデータが蓄積され、共有されることがなければ、方針を決定することができません。いまどうして遅れているのか、なぜ費用が増加しているのか、退職者が増えているのか… 原因や理由がわからなければ手の打ちようがありません。ゴール付近に到達していても、ここがどこだかわからなければ、ゴールテープを切ることができません。そして何よりチームで状況を把握共有しなければ、状況に即した協働を随時行うことができないのです。