迅速な意思決定&オペレーションのために #3

行動に至らない理由

この迅速な意思決定とオペレーションは、いくら考えても全く意味がない。行動しない限り何も起きないし何も変わらないからだ。COVID-19が猛威を奮っているが、これに打ち勝つためには、我々自身がコロナに打ち勝つ免疫力を持たなければならない。抵抗力や免疫力の低下は、物理的に人体に大きな影響を及ぼす。そしてこの免疫力は、同じ人体ではあるが「脳」に厄介な問題を引き起こしている。でも、こちらは物理的ではなく我々の思考、つまり見方や考え方への影響だ。その結果、こちらの免疫作用は私たちの行動に大きな影響をもたらすことになる。

いくら具体的な導入プランまで示した良い施策であったとしても、実際に行動に至らなければ何も変わることはできない。過去にも多くの施策が発表されてきたが、ロケット花火に終わったことの何と多いことか。人は本当に自分の問題にならなければ行動に至らない。ダイエットはまさに自分の問題であっても行動に移せないのは際たるものかもしれない。筆者は、リーダーを対象に行動変容のコーチングを行なっているが、誰であっても実際に行動を起こすことは難しい。 行動的になれない理由多々考えられるが、以下項目が代表的だ。

  • 自信がない/不安がある:経験したことのないことに取り組む時や、新たなチャレンジをしなければならない時。
  • 具体的なイメージがわかないイメージできないものは実現できません! 何から着手すればよいか見当がつかなかったり、テーマが大き過ぎ抽象的なことに対応しなければならない時。
  • 目的が曖昧:目標や行動計画があっても、いまいち「何のためにやるのか?」が見えない時。よく理解できていない人からの指示や企画書などに見られます。
  • 苦手だったり好きではないとき:人は無理に頑張ろうとすると結果が出せないばかりか、体を壊してしまうことにも繋がりかねません。
  • はじめから諦めてしまう:リミテッドビリーフ。つまり自分で勝手に無理だと思い込んでいる状態です。過去のトラウマだったり信念(これも一種のバイアスです)が邪魔をすることもあります。
  • 忙しい:やらなければならないことは理解していても、時間が取れないことを理由に実施していない場合です(アイゼンハワーマトリクス “緊急vs.重要の4象限” での選択と集中がなされていない場合も)

ハーバード大学教育学大学院教授のロバート・キーガンは、著書 “Immunity to Change” の中で、人は必要だとわかっていても85%に人が行動すら起こさない…と言っている。先のダイエットを例に彼の免疫マップを用いて考えると以下の通りだ。

といった免疫マップ(理由)が考えられる。

つまりは行動を起こしたくない、行動したくない明確な理由が裏に隠されている。改善目標とその目標を妨げている阻害行動は三者共通だが、減量を妨げている要因は三者三様だ。
これをDX実施担当者で考えると、行動を妨げているものが見えてこないだろうか。

前述の行動に移れない代表理由と重なるところだが、何のためにという明確な「意味の共有」と、コミュニケーションによる「相互の信頼」無くしては目標に至ることはできない。