倫理リーダーを育てる(6)◉リーダーとして考えなければならないこと

リーダーとして考えなければならないこと

宇多田ヒカルの「Wait & See ~リスク~」という曲をご存知っだろうか。私はJPOPをほとんど聞かないので知らなかったのですが、二番の2コーラス目にこんなフレーズがある。

 “変えられないものを受け入れる力、そして受け入れられないものを変えようとする力をちょうだいよ… ” 

とても奥が深い錯視に驚くばかりですが、どうやらこのフレーズは「THE SERENITY PRAYER(ニーバの祈り)」として知られる、ラインホールド・ニーバーの詩をもとにしているらしい。その原文はこうだ…

神よ、

変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、

変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ

ラインホールド・ニーバー(大木英夫 訳)

ここにある「変えることのできないもの」と「変えることのできるも」は、いったい何を示していると思いますか?

変えることのできるも… これは正しく自分のことではないでしょう。変えることのできないもの… こちらは色々考えられます。過去だったり、他人だったり、つまり自分以外の全ての事柄を指していると考えられます。

交流分析で著名な精神科医エリック・バーンが次のように言っています…

“他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる”… と。

つまりこれが「この二つを識別する知恵」として、「現在から過去の事象と未来の事象で分けて考える”力”」を指しているのかもしれません。

あなたはどう感じたでしょう?

倫理の問題は、過去に起こってしまった事象の原因について考えるだけではなく、むしろ自分や当事者の未来をも含めたシステミックな思考が欠かせないのではないでしょうか。システミックとは「組織の体系(全体)」を意味します。

前回の意思決定ホイール(車輪)では、5つの体系化された領域で検討する必要を示しましたが、倫理問題は系統的に統合的に鑑みる必要があるようです(続く)