倫理リーダーを育てる(29)◉優先順序をつける

#29

◉優先順序をつける

5つの要因の最後は、優先順序をつける。なんで優先順序が求められるんだ?と、疑問をお持ちの方も多いのではないだろうか。

この優先順序は、何かを判断する、あるいは選択をする場合に求められる、前提条件なのです。

つまりその決定を行う場合、何を最重視して判断を行うかということです。

キリスト信者であれば、第1に神であるキリスト、第2に家族…、といった順序でしょうか。その人の価値観だったり、置かれている立場や状況だったり、もちろん愛する家族や恋人だったり、お金や名誉だったり、会社や組織・チームかもしれません。

倫理的な生き方を行う黄金律を汚すケースとして、この優先順序を考えてみると、倫理的な判断を行う場合の様々な条件(いま表した、価値観や信念など)が明確であれば、一定の判断が行えますが、その優先順序が明確でない場合には、迷走したり、時にラインをこえる行動に至ることも考えられるのではないでしょうか。

「最も重要なことは、最も重要でないことに翻弄されないこと」とは、ゲーテの言葉です。

人は見たいものを見るとは、シーザーの言葉ですが、見えるものや分かりやすいもの、過去に経験があることであれば取り組みやすいと思う傾向があります。

あなたの会社の経営会議や役員会議で、決めやすいものから議題に挙げられ、一番重要な議案は時間切れで毎回先送り.. といったことはありませんか?

倫理における意思決定も予め優先順序を明確に共有することができれば、個々バラバラに判断することなく、皆にわかりやすく結果を伝えることができるのではないでしょうか?

リスクマネジメントの一環として、倫理判断基準と判断優先順位を決めておくことをお勧めします。