倫理リーダーを育てる(26)◉快楽を克服する
#26
◉快楽を克服する
およそ3,600年ほど前に消失した「ソドム」の痕跡が、中東ヨルダンの死海の北部で見つかったとのニュースがあったばかりだ。旧約聖書で、神の怒りを買って「天の火」で滅ぼされた都市とされており、酒池肉林ざんまいの民に神が雷を振るったという伝説がある。
快楽を求める気持ちは、恐ろしい支配者になります。事実、私たちの多くが追い求める快楽は短命で、私たちを満足させません。私たちを誘惑するものが、その約束を果たすことはほとんどありません。後に残るのは自責の念と後悔だけです。
では、この快楽への対策はどうすればよいのでしょう?
「誘惑に負けないための予防策はいくつかあるが、最も確実なのは臆病になることだ」とは、15少年漂流記でお馴染みのマーク・トウェインの言葉です。
もし、自分が倫理的な一線を越えてしまうような快楽に誘惑されやすいとわかっているなら、危険な場所に身を置くことです。誘惑に負けそうになったら、道の反対側に渡りましょう。誘惑に負けないためには、誘惑に負けないようにすることが大切です。
リスクに準えて考えれば、リスク対策のための4要素である「低減」「無視」「移転」「回避」で考えることができないでしょうか。つまり、快楽の誘惑から逃げること、近づかないことだと言えるでしょう。「どうして自分はここにいるのだろう? 何のために?」と自問することです。
そして、自分自身に規律を持って自制することが重要です。
以前(#4)でご紹介した「フランクリンの13の美徳」に則っていれば、快楽も自ずと近寄ってこないのではないでしょうか。自律することが合わせて求められるのです。
皮肉なことですが、自由を得るためには、自制心をもって感情を抑える必要があります。そのためには人格が求められます。自制心を開発する最良の方法の1つは、満足を遅らせること。
いまの私たちはそれがうまくできていません。私たちは正に電子レンジの様に、すべてを今すぐに実現することを望んでいます。 「現在は、満足感を抑えるという感覚はほとんどありません。もっと自分のために何を得るかなのです。」と、ハーバードビジネススクールのD.Charahan は、彼の調査結果から導いています。
快楽や財産に心を奪われた経営者は、残念なことに、徐々に周りから信頼されなくなります。真実よりも快楽を愛する者は誰でも困難に陥り、他人を巻き添えにして行きます。
「快楽」という「リスクへの対処」が求められています(つづく)