倫理リーダーを育てる(25)◉プレッシャーをどう乗り越えるか

#25

プレッシャーをどうに乗り越えるか

多くの企業で起きる倫理違反の多くが、数字によるプレッシャーからの「売り上や利益」に対する帳簿の改ざんです。既に10年以上前の出来事ですが、エンロン、ワールドコムの改竄事件は、未だに多くの方の記憶にあるのではないでしょうか。

“毎年、より多くの取引をし続けなければならない “と。そして、取引を重ねるごとに、「もっと取引をしなければならない」「株価をさらに上げなければならない」というプレッシャーが高まっていきました。しかし、それはどこかで終わらなければならず、それはエンロンの崩壊とともに終わりました。このエンロン事件は改竄は手段として行われましたが、その元は放漫経営だったとも言われています。

プレッシャーに直面した時、まずいと思いながら自分の価値観を崩しそうになる時、あなたならどうするでしょうか?

そうです、自分自身に厳しい問いかけをしてみてください。

  • プレッシャーは緊張を生み、緊張は感情を揺さぶることがあります。そのような状況下では、自分の判断が甘くなり、自分や他人に影響を与えてしまう人がいます。どうしたら防げるだろう? あまりにも感情的に軽率な判断をしていないだろうか?
  • 人によっては、自分のミスを認めることがほとんどできません。私は、たとえ気に入らないことでも、真実を貫くことができるだろうか? こんなことに妥協してよいのだろうか?
  • プレッシャーに負けて、近道を考えてしまうことがあります。私は正しいことをするために戦うことを厭わないだろうか? 私は楽をしていないだろうか?
  • 私は自分の約束を守り、たとえ痛い目にあってもやり遂げるつもりだろうか? 私は他人の意見に屈するつもりだろうか?
  • 人によっては、他人の意見に影響されやすい人がいます。自分が正しいと思うことを、たとえそれが不評であっても実行するだろうか? 私は他人の意見に屈するつもりだろうか?
  • どうすれば、約束が煙にならないようにできるでしょうか? 守れない約束をすることになるのではないか?

そもそも、なぜこうならなければならないのか?ことの本質は何か?を思い出す必要があります。

あなたは誰に対して責任を持っていますか? 家族? 同僚や部下? 上司や社長? 株主? 取引先ですか? もしそうなら、これらの優先順序は?

帳簿に対する改竄は決して一人だけでできることではありません。そして皆「一度だけだから、今回だけだから..」との思いで、周りを説得し事に及びます。

でも、ことの本質を変えない限り問題を解決しない限り、又同じことが起こり、麻薬のように常習化して行くのです。
(つづく)