倫理リーダーを育てる(3)〜倫理トライアングルを深掘りする〜

〜倫理トライアングルを深掘りする〜

◉倫理観を見る

倫理的な行動を宣言すると、倫理のABC(Action/Beleif/Commitment)である3つの外枠ができます。倫理トライアングルの内側には、倫理的な人がその美徳を信じ、倫理的な行動にコミットするために従う、6つの重要な美徳があります。

人を敬い「尊重」し「信頼」する。「善意」をもって対応をし「情け」を持つ。そして「責任」をまっとうすることから得られる「信用」が表す6つの美徳です。そして、これらの美徳はすべて、トライアングルの中心である倫理的性格である「倫理観」に影響を与えると言われています(Dwight Johnson)

もしこの6つの美徳のいずれかに違反し、円の1つに綻びが生じると、3辺の外壁のA・B・Cの何かにヒビが入る可能性があります。もしそうなれば、その美徳は倫理観に不快な影響を与え、倫理観を維持できなくなる可能性があります。

倫理的な特性に一旦綻びを生じると、倫理のABC 関係に亀裂を生じ、崩れ安くなります。尊重・信頼や情けや善意に綻びが生じれば、信念や信条を揺るがします。情けや善意そして信用や責任に綻びが生じると、義務や責任に影響を与え、さらに尊重と信頼が綻ぶと、行動や活動に支障をきたすことになります。

そうならない、そうさせないためには、手近な方法である読書、他人の観察、教育・セミナー、倫理的行動の実践などを駆使して、「倫理的三角形の“金庫”」に鍵をかける必要があります。これが、破ってはいけないところの「原理」であり「原則」なのです。

そして、これは倫理を守るためだけではありませんが、問題を様々な視点から認識し、関連する課題を統合して解決をする必要があります(次回:倫理の輪)

◉意志に強化される倫理

この6つの美徳(倫理基盤)に亀裂を生じさせないための1つの重要な手段は、あなたの「意志」です。

私たちは 精神 の永続的な強さを通して葛藤にうち勝ちます。この私たちの意志は、葛藤から行動に至る全ての原動力です。葛藤とは、争い、闘争、紛争、(主義・主張上の)争い、争議、論争、口論、(思想・利害などの)衝突を指しますが、特にここでは自分の考えや状況から生じる、内面的葛藤を意味します。

意志とは、自分の行動を選択する目的または決意です。意志の重要な原則は、自分がしていることが「必要である」或いは「正しい」という決意を持つことです。したがって、あなたがリーダである場合は特に、何が正しいか、それをどのように実行するかについて考えることは、その意思決定においての重要な要素になります。そして最終的には、何が正しいかを理解し、信じることで、意志が強まるのです。

倫理には、「価値観」と「性格」という切り離すことのできない2つの特徴があります。これは、リーダであるあなたが組織の価値観の重要性を内面化するのに役立ちます。

これらの価値観を述べることができるのは良いことなのですが、価値を理解しメンバーと共有することは、組織のメンバーに組織の価値観に従って行動することを強いるものです。そしてこれは、メンバーひとり1人が何をすべきかを判断するのに役立ちます。

メンバー全員が組織の価値観(ex. 自分とメンバーにとって重要なコト)を理解し信じるほど、組織の行動はその価値を確実に反映できる、強い決意を持つようになります。

つまり倫理は、私たちの意志決定に重要な要素だということです。こんな格言を聞いたことがある「経営には、人並みの経営力と、並外れた倫理観が必要だ」。正しく言い得ている(続く)