史上最強のリーダー「シャクルトン」

シャクルトンに見るリーダーシップ。シャクルトン・ウェイ。

ビジネススクールの教授がMBAの学生に薦める36冊の中の一冊で、スタンフォード大学経営大学院の名誉学長、ロバート・L・ジョス(Robert L. Joss)氏の推薦図書。Joss教授は他の教授が複数冊紹介する中、この本1冊だけを紹介している。

シャクルトンは、南極探検のリーダーとして「不確実性」「非常事態」の中で「意思決定」を行い、チームをリードしてきた。まさに、2020年、コロナショックの最中に求められるリーダー、リーダーシップ力ではないでしょか。今回は、この「シャクルトン ウェイ」に書かれている、リーダーの「在り方」をピックアップしました。ご参考まで。

ーダシップの磨き方

  • 他人を思いやる気持ちと責任感を養う。僕の人生に対しては、自分が思う以上に大きな影響を与えているのだ。
  • 何かを決めたら、難しくともやり遂げる。
  • 期待に満ち溢れる職場づくりに努める。能率を上げるには、前向きで明るい職場環境が重要だ。
  • 自分の仕事の範囲を越えて、学習や付き合いの幅を広げる。物事を別の視点から見ることができれば、問題にぶつかったとき柔軟に対応できる。
  • 変化の厳しい世界では、方向転換して新たなチャンスを捉え、新たなスキルを学ぶことを恐れてはならない。
  • 後退や失敗を利点(プラス)に変える方法見つける。自分が前進する好機となる。
  • ビジョンは大胆に計画を慎重に。新しいことに挑戦すべきだ。しかし、計画は慎重に立て、実現の可能性を高める。
  • 過去の失敗に学ぶ。自分の失敗だけでなく、他人の失敗からも学ぶ。ひどい上司や失敗経験が、最良の教師となることがある。
  • いかなる犠牲を払っても目標を達成すると主張してはならない。適切なコストで達成すべきであり、部下に過大な負担をかけてはならない。
  • ライバルを公に批判しない。紳士的に競い合う。いずれ協力を仰ぐことがあるかもしれない。

ームメンバーの決め方、及びまとめ方

  • まずは過去に一緒に仕事したり、信頼できる同僚が推薦する者から中核メンバーを選ぶ。
  • 最も重要なのが、女房役の選抜だ。自分のやり方を補い、忠実だがイエスマンではなく、他の人とうまくやっていける人物を選ぶ。
  • 自分のビジョンに共感できるメンバーを選ぶ。気性や文化に馴染まない人物は、仕事の妨げになる。
  • 独創的で型にはまらない人物を探すのであれば、独創的で型にはまらない質問をしなければならない。職歴や専門知識にとどまらず、突っ込んだ質問する。候補者の性格や価値観、職業観、人生観が浮き彫りになる質問をする。
  • 明るく、前向きなメンバーを集める。忠誠心や連帯感を持ち、成功の原動力となってくれるはずだ。
  • ある仕事を本気で欲しがってる者は、その仕事を失わないために懸命に働くものだ。
  • どんな仕事にもやる気を示し、人の嫌がる仕事をやろうとする者を選び、怠け者を取り除く。
  • 自分には無い才能や知識を持った人材を採用する。自分の地位が脅かされるのでは…と怖気付く必要はない。彼らのおかげで、最先端にとどまることができ、他との差別化ができる。
  • 新人には、仕事の内容や報酬を正確に伝える。仕事上の人間関係がうまくいかないのは、コミケション不足によるものであることが少なくない。
  • 部下にいい仕事をしてもらうには、可能なかぎり最高の設備を準備する。旧式で信頼性の低い設備を使えば、余計な負担を増やすことになる。

実で結束力のあるチームを作る

  • 行動する前にじっくり観察をする。初めての場所なら特にそうだ。何かを変更するときは、必ず改善する為でなければならない。自分の株を上げるためだけに、手を加えてはならない。
  • 部下にはつねに門戸を開放し、メンバーが必要とする情報は進んで公開する。十分な情報があれば、メンバーも積極的に関与しようとするし、備えもできる。
  • 仕事の秩序を確立し、手順を決める。これによって、メンバー各自が自分の役割や何をなすべきかがわかる。訓練次第で自分にもできるものという感覚が身につく。
  • 些細なものから難しいものまで、1人の人間がいくつもの仕事を経験するようにして、旧来の階層や派閥を打ち破る。
  • 可能な限り、ひとつの作業を共同でする。これにはって信頼と尊敬、さらには友情が生まれる。
  • 報酬や仕事量、罰則は平等に分け合う。公平でないと、誰もが嫌な思いをする。恵まれたものですらそうだ。
  • 自ら規範を示す。指示した仕事については、時折、助言する。これによって、仕事に高い基準を設けることができ、その仕事を重視する姿勢を示すことができる。
  • 頻繁に集まる「場」を設けて結束を強める。形式ばらない朝食会などを開き、従業員が仕事以外で自由に語り合える機会を増やしても良い。あるいは、祝日や記念日を一緒に祝い、従業員に対して、上司としてではなく、個人として接するようにする。

人の長所の伸ばし方

  • 働く人たちがもっと時間を過ごしたくなるように、快適な職場環境を作る。ある程度、個人の好みを認める。
  • 従業員の福利厚生の向上に積極的に取り組む。従業員が心身共に健康であれば、生産性は上がる。
  • どの従業員にも仕事にやりがいを感じられるようにする。末端の従業員も会社に欠かせない仕事をしており、自分の仕事が会社に貢献していると感じられるようにする。
  • 各人に適した職につかせる。メンバーの性格を見極める。経歴だけでなく、性格にあった仕事は何かを考える。
  • 仕事については、常に評価を伝える。自分の仕事ぶりが十分に評価されているとか、期待されていると感じている従業員はほとんどいない。
  • 仕事上だけでなく人間として付き合う部分を作る。どれほど大きな企業であっても、できる限り多くの従業員と知り合う。何に関心を持っているかを頭に入れておけば、仕事以外の話題ができる。
  • チームやグループだけでなく個人の労をねぎらう。高い成果をあげたときには全員に知らせる。誕生日や勤続記念行事などを祝えば、従業員は自分が評価されていると感じるものだ。
  • 寛容になる。従業員ひとり1人の長所と短所を知り、適切な期待を寄せる。個人に任せたほうが絶大な効果を上げられる場合がある。自分が極度の緊張状態にあるときは、特にそうだ。

員で危機を乗り越える方法

  • 危機が発生した場合、ただちにメンバーに話す。リーダが責任を負い、行動計画を示し、支援を求める。必ず事態は好転すると絶対的な自信を示す。
  • 不必要な中間の階層は取り除く。危機的状況では、直接指揮をとるのが効果的だ。
  • 選択肢をいくつか用意し、綿密に検討する。それぞれの場合に、どのような結果を招くかをつかむ。常に全体像を把握しておく。
  • 供給と業務の流れをスリム化して、スピード・ダウンを避ける
  • 部下が軌道を外れないように、適宜チェックする。人間は、時間の経過とともに、危機が当たり前だと考えるようになり、危機意識を失うものである。
  • 不満分子は自分のそばに置く。避けようとする本能に逆らい、不満分子をとりこみ、支持を取り付ける。
  • 緊張を和らげる。極度の緊張状態では、ユーモアで部下をリラックスさせるとともに、忙しくさせる。
  • 過去にこだわらない。過去の失敗を侮んだり、どうにもならないことを気に病んで、時間や労力を無駄にしない。
  • 助言や情報は多方面から求める。ただし、最終的には自らの良識に基づいて決断すべきだ。
  • 危機を乗り越えるために、全員を巻き込む。それほど重要でない仕事を重んじることになってもよしとする。
  • 忍耐強くあれ。事態の推移を見守るのが最良の選択である場合もある。
  • 不人気な考え方を理解してもらうには、部下に十分な時間を与える。

事業に取り組むチームの作り方

  • 難事業に取り組むには、いくつかのチームに分けるのが最善の方法である場合が多い。単独で事業を遂行できるチームを作る。ただし、各チームが同じではないことを認識しておく。全体的なバランスがとれていることのほうが重要である。
  • 最難関の課題に挑める最強チームをいくつか作る。これらのチームが他のチームを助けて、落伍するチームが出ないようにする。
  • 単調な仕事は、文句を言わないメンバーに与える。過度の仕事を任せているのは承知しており、不屈の精神を期待しているのだと伝える。
  • チームのことはチームリーダーに任せる。ただし、細部に気を配る。問題が浮上して初めて驚くようではいけない。
  • 当初の計画がうまくいかなければ、変更も恐れてはならない。なぜ変更するのかを説明すれば、優柔不断だとは思えない。
  • 自己犠牲を払う。権限が及ぶ範囲で、たとえわずかでも部下に特典を与える。
  • 代理を務める者への信頼感を示す。自分がいないとき、代理のものが自分と同じ水準の力を維持してくれることが重要である。
  • 他人の前で、個人の弱点を指摘しない。何人かの弱点を直す時も、全員の課題にする方が良い。そうすれば、その点に強みがある者のためにもなる。

進を続ける不屈の精神を見つけ出す方法

  • 選択肢が狭まったときには、大きなリスクを受け入れられるようになる。大胆な冒険の最後の段階には、それで得られるものが大きくなれば、惨めな失敗に終わるリスクも正当化できる。
  • 危機の際に自分や周囲の人たちを落ち着かせ、動機づけられる偉大な思想を学ぶ。偉大な思想を学んでいれば、肉体的にも精神的にも特に苦しい時期を乗り切ることができ、視野を広げることができる。
  • 仕事が成功したとき、仲間と喜びを分かち合う。肩を叩くか、心のこもった握手で感謝と喜びを表現する方法は、決して時代遅れではない。
  • 各自が独り立ちできるように部下を励ます。優れた指導者のもとで働く人たちは、自力で成功を収めようとする意志を持つようになる。
  • 部下から刺激を受ける。ときには仕事量が多すぎて、仕事の基準を引き下げるべきだと感じることがあるだろう。仕事の成果は全員が最善を尽くしたものでなければならないことを忘れてはならない。
  • 特に苦しい状態でも、自分の周りにはもっと大きな世界であり、自分の知識や経験を役立てられる可能性があることを忘れてはならない。そして、社会や家族の活動に参加すれば、仕事に役立つ能力を獲得できることがある。
  • 全ての仕事を確実に完了させよう。困難な部分が終わったとき、部下にはその仕事から手を引くよう指示できるが、責任者は最後の最後まで仕事に責任を負わなければならない。

ーダーシップについてのシャクルトンのことば

  • 「世の中には素晴らしいものがたくさんあるが、仲間意識、つまり仲間に何かしてあげられること以上に素晴らしいものを知らない」
  • 「前向きの姿勢こそ、真の勇気を示すもの」
  • 「リーダーシップはいいものだが、それに伴う罰もある。最大の罰は孤独である」
  • 「古い目標がなければ、新しい目標を目指さなければならない」
  • 「メンバーの忠誠心は、絶対的な信頼である。決して裏切ることなく、応えなければならない」
  • 「成功と失敗の差は紙一重であることにいつも驚いている」
  • 「真実ばかりでなく、真実をどう思っているかを隠さなければならない場合が多い。事実は正反対でも、そう言ってはならないことを知らなければならない」
  • 「リーダーであれば、つまり、他のものから頼りにされているのであれば、 そうであり続けなければならない」